「拭き取り化粧水を使ったらニキビが悪化した」「ニキビ肌には拭き取り化粧水は良くないの?」このような悩みや疑問をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。

拭き取り化粧水は、洗顔だけでは落としきれない古い角質や余分な皮脂、毛穴に詰まった汚れを効果的に取り除き、肌をクリアに整えるスキンケアアイテムとして人気があります。ニキビのできにくい清潔な肌環境を作り、その後の化粧水や美容液の浸透*²を高める効果も期待できるため、多くの方のスキンケアに取り入れられています。

しかし一方で、「使ったらニキビが増えた」「刺激を感じる」「肌が乾燥してかえって悪化した」という声も少なくありません。これは拭き取り化粧水そのものに問題があるのではなく、肌質に合わない製品選びや間違った使用方法によるものであることがほとんどです。

実際のところ、拭き取り化粧水は「使い方」が非常に重要。正しく使えばニキビケアの強い味方になりますが、間違った使い方をすると肌バリアを傷つけ、ニキビを悪化させる原因になりかねません。

拭き取り化粧水がニキビを悪化させる要因、正しいニキビへの使い方を知り、自分の肌状態に合った拭き取り化粧水との付き合い方を見つけ、ニキビのない美しい肌を目指しましょう。

拭き取り化粧水がニキビ肌に良い・悪いと言われる理由

「拭き取り化粧水を使うとニキビが悪化するって本当?」「ニキビケアに良いと聞いたけれど、なんだか不安…」 など、ニキビに拭き取り化粧水を使うことの良し悪しについては、さまざまな意見があります。

実際のところ、拭き取り化粧水はニキビ肌にとって「メリットになる」「デメリットになる」と一概に言えるものではありません。

拭き取り化粧水は正しく上手に使うことでニキビができにくい肌に導いてくれます。一方で間違った使い方をするとニキビを悪化させるだけではなく、様々な肌トラブルの原因となりえます。

なぜ拭き取り化粧水がニキビ肌に「良い」とも「悪い」とも言われるのか?その理由と、ニキビへの効果・デメリットをしっかり見極めていきましょう。

拭き取り化粧水はニキビケアに使うメリット

拭き取り化粧水の大きなメリットは、通常の洗顔では落としきれない古い角質や余分な皮脂、毛穴の汚れを効果的に取り除くことです。これによって肌の新陳代謝(ターンオーバー)の正常化をサポートしてくれます。

この働きで毛穴詰まりを防ぎ、肌を清潔に保つことができるため、ニキビができにくい肌環境づくりの第一歩となります。特に、古い角質が厚く溜まる「角質肥厚(かくしつひこう)」が原因となる大人ニキビの予防に効果的です。

角質肥厚とは、肌のターンオーバーの乱れなどにより、古い角質が剥がれ落ちずに肌表面で厚くなった状態のことです。この状態になると、厚くなった角質が毛穴の出口を塞いでしまうため、中で皮脂が詰まりやすくなります。

加えて、皮脂が詰まった毛穴はニキビの原因菌であるアクネ菌にとっても増殖しやすい好都合な環境となり、結果としてニキビが発生・悪化しやすくなります。

拭き取り化粧水を使うことで、こうした不要な角質を穏やかに除去し、肌の健やかなターンオーバーをサポートする役割が期待できます。ターンオーバーが整うと、しなやかで荒れにくい健やかな肌を生み出す好循環につながるため、ニキビに悩む方にとって心強いケアアイテムと言えるでしょう。

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間違った使い方をすると拭き取り化粧水でニキビが悪化する原因に

一方で、「拭き取り化粧水を使うとニキビが悪化した」「肌に悪いのでは?」という声が聞かれるのも事実。せっかくニキビケアのために取り入れたのに、肌トラブルが悪化してしまっては元も子もありませんよね。

しかし、拭き取り化粧水でニキビが悪化すると言われる場合、その多くは「使い方」に問題があることが主な要因と考えられます。

例えば、良かれと思ってゴシゴシと強く擦ってしまったり、コットンに含ませる化粧水の容量が少なすぎたりすると、肌への摩擦が大きくなり、刺激となることもあります。

ニキビ肌の方の場合、肌が炎症していたり、敏感だったりする場合があります。そういった状況で必要以上にコットンでこすってしまうと、悪化の要因となりかねません。

このように、拭き取り化粧水によるニキビの悪化は、間違った使い方による肌への負担や刺激が主な原因と考えられます。 

拭き取り化粧水でニキビを悪化させてしまう使い方

拭き取り化粧水は正しく使えばニキビケアの味方になりますが、使い方を間違えると、かえってニキビを悪化させてしまう要因になります。

ここでは、特に注意したい使い方を3つ紹介します。

保湿ケア不足で、肌を乾燥させてしまっている

拭き取り化粧水を使った後に、保湿ケアを十分に行わないと、肌の乾燥を招くことがあります。さっぱりとした使用感の製品や、アルコール配合の製品を使った場合などは特に注意が必要です。

肌が乾燥すると、うるおいを保ち外部の刺激から肌を守る「バリア機能」が低下してしまいます。バリア機能が弱まると、わずかな刺激にも敏感に反応しやすくなり、ニキビの炎症が悪化したり、新たな肌トラブルを引き起こしたりする原因になりかねません。

さらに、肌は乾燥を感じると、それを補おうとして逆に皮脂を過剰に分泌してしまうことがあり、この過剰な皮脂が毛穴に詰まると、ニキビの新たな原因となる悪循環に陥る要因ともなります。

拭き取りケアの後は、必ず化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿することを忘れないでください。

過度な摩擦による肌への刺激

良かれと思ってコットンで肌をゴシゴシと強くこすってしまうのは、ニキビ肌の方にとって最も避けたい使い方の一つです。

コットンによる物理的な刺激は、すでにできているニキビの炎症を悪化させる直接的な原因となります。

赤みが増したり、痛みを感じたりする一因になります。また、摩擦は肌表面を傷つけ、肌を守るバリア機能を壊してしまいます。

バリア機能が損なわれた肌は、乾燥しやすくなるだけでなく、外部からの刺激やアクネ菌などの影響を受けやすくなり、ニキビが悪化しやすい状態になってしまいます。

拭き取り化粧水を使う際は、コットンに十分な量の化粧水を含ませ、肌の上をやさしく滑らせるように使うことがニキビ肌を悪化させないためにも大切になってきます。

過度な角質ケアになっている

拭き取り化粧水には、古い角質を取り除く効果が期待できますが、その頻度や使い方には注意が必要です。「早く効果を出したい」と焦るあまり、一日に何度も使用したり、他のピーリング剤などと併用したりすると、角質ケアが過度になってしまうことがあります。

肌の角質は、本来、外部刺激から肌内部を守る大切な役割を担っています。必要以上に角質を取り除きすぎてしまうと、肌が本来持っているバリア機能が低下し、肌が薄く敏感な状態になってしまいます。その結果、乾燥、赤み、ヒリつきなどを感じやすくなるだけでなく、外部からの刺激に対する抵抗力が弱まり、かえってニキビができやすくなったり、悪化したりする可能性があるのです。

製品が推奨する使用頻度や使用方法を守り、「やりすぎ」にならないように注意しましょう。

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拭き取り化粧水でニキビ肌をケアするメリット

使い方に注意すれば、拭き取り化粧水はニキビに悩む肌にとって心強い味方となります。ここでは、主なメリットを紹介していきます。

毛穴詰まりの原因となる「古い角質」や「余分な皮脂」を除去できる

ニキビの大きな原因の一つが、毛穴の詰まりです。肌のターンオーバー(生まれ変わり)が乱れると、本来は自然に剥がれ落ちるはずの古い角質が肌表面に溜まりやすくなります。この古い角質が、過剰に分泌された皮脂やメイク汚れなどと混ざり合って毛穴を塞いでしまいニキビができる要因になります。

拭き取り化粧水は、ターンオーバーの遅れなどで排出されにくくなった古い角質や、洗顔で落としきれない毛穴の汚れ・余分な皮脂を取り除くことで、毛穴詰まりを予防し、ニキビができにくい肌環境の土台作りをサポートしてくれます。

洗顔で落としきれない「汚れ」を除去し肌を清潔に保てる

毎日丁寧に洗顔していても、毛穴の奥の汚れや、すすぎ残した洗顔料、水道水中の微量な成分、日中に付着したホコリなどが肌に残ってしまうことがあります。

拭き取り化粧水をスキンケアの最初のステップとして使うことで、こうした洗顔で落としきれなかった汚れを取り除くことができます。肌をより清潔な状態に保つことは、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える上でも非常に重要です。

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後に使うスキンケアの肌なじみをよくする

肌表面に古い角質や汚れが残っていると、その後に使う化粧水や美容液などのスキンケアアイテムが肌に馴染みにくくなることがあります。せっかくの保湿成分や美容成分も、肌表面の状態が整っていなければ、その効果を十分に発揮しきれないかもしれません。

拭き取り化粧水で肌表面をなめらかに整えることで、後から使う化粧水や美容液などの肌なじみを良くする効果が期待できます。これにより、肌が保湿成分や美容成分を受け入れやすい状態になり、スキンケア全体の効果がより発揮されやすくなるでしょう

ニキビだけじゃない!肌トラブルを予防できる

拭き取り化粧水のメリットは、ニキビ予防だけにとどまりません。古い角質をケアすることで、肌のごわつきやくすみ*¹が取れ、透明感*⁴のある明るい印象の肌に導いてくれます。

また、毛穴の汚れや詰まりをケアすることは、気になる毛穴の黒ずみ*³を目立たなくする助けにもなります。肌表面を清潔に保ち、ターンオーバーをサポートすることで、乾燥や肌荒れなど、様々な肌トラブルが起こりにくい、健やかでなめらかな肌作りに繋がります。

ニキビ肌を悪化させない拭き取り化粧水の正しい使い方

拭き取り化粧水は、使い方次第でニキビケアの味方にも、逆効果にもなり得ます。メリットを最大限に引き出し、肌トラブルを避けるための正しい使い方をマスターしましょう。

拭き取り化粧水をたっぷりコットンに染み込ませて優しく拭き取る

コットンに染み込ませる化粧水の量が少ないと、コットンと肌との摩擦が大きくなり、刺激となってニキビを悪化させる原因になります。

コットンを使う際は、裏側まで十分に濡れるくらいたっぷりと化粧水を含ませましょう。そして、肌の上をゴシゴシこするのではなく、顔の中心から外側に向かって、力を入れずにやさしく滑らせるように拭き取ります。

十分な量の化粧水がクッションとなり、肌への物理的な負担を軽減してくれます。小鼻の周りなど、細かい部分も力を入れすぎないように注意してください。

拭き取り後は必ず保湿ケアを行う

拭き取り化粧水で肌表面の汚れや古い角質を取り除いた後は、肌が一時的に乾燥しやすい状態になっています。乾燥はバリア機能の低下や皮脂の過剰分泌を招き、ニキビ肌にとってはマイナスです。

そのため、拭き取り化粧水の使用後は、すぐに保湿ケアを行うことが非常に重要です。化粧水で水分を補い、さらに美容液や肌質に合った乳液・クリームなどでうるおいを閉じ込めましょう。

ただし、ニキビ肌の場合は保湿アイテムの選び方も大切です。 油分が多すぎる製品や、毛穴を塞ぎやすい成分(コメドジェニック成分)が含まれている製品は、かえってニキビを悪化させる原因となる可能性があります。

保湿アイテムを選ぶ際は、「ノンコメドジェニックテスト済み」(または「ニキビのもとになりにくい処方」など)と表示されているかを確認するのがおすすめです。また、ご自身の肌質(乾燥しやすいか、脂っぽいかなど)に合わせて、オイルフリーの製品や、油分の少ないジェルタイプの保湿剤などを選ぶのも良いでしょう。

適切なアイテムを選び、肌の水分と油分のバランスを整えるように保湿することで、バリア機能をサポートし、健やかな肌を保つ鍵となります。

紫外線対策をしっかりする

拭き取り化粧水で角質ケアを行うと、肌表面の古い角質が取り除かれるため、一時的に肌が紫外線の影響を受けやすくなります。紫外線は、ニキビの炎症を悪化させたり、ニキビ跡の色素沈着(シミ)の原因になったりします。

スキンケアの一環として、日頃から日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。特に、拭き取り化粧水を使用している期間は、SPF値やPA値を確認し、季節やシーンに合った紫外線対策を意識することが大切です。

加えて、日焼け止めと合わせてビタミンC誘導体などが配合された化粧品などを使用することもおすすめです。ビタミンCに期待される抗酸化作用は、紫外線ダメージに対するケアを強化するだけでなく、ニキビ自体のケア(特に炎症抑制や悪化予防)にも近年の研究で有効性がわかってきています。

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ニキビの炎症がひどいときは使用を控える

拭き取り化粧水は、基本的に肌状態が比較的落ち着いている時に使うのがおすすめです。赤みが強い、触れると痛い、膿(うみ)を持っているなど、ニキビの炎症がひどい場合は、どんなに優しく使っても刺激となり、さらに炎症を悪化させてしまう可能性があります。

ニキビの炎症がひどい場合は、まず炎症を鎮めるケアを優先し、拭き取り化粧水の使用は一旦お休みしましょう。肌の状態が落ち着いてから、様子を見ながら再開するようにしてください。

もし悪化してしまったら?

正しい使い方を心がけていても、肌質や体調によっては、拭き取り化粧水が合わずに肌の状態が悪化してしまう可能性もゼロではありません。

もし、「ヒリヒリする」「赤みが増した」「ニキビが増えた」などを感じたら、まずはすぐに使用を中止してください。その後は、刺激の少ないシンプルなスキンケアで丁寧に保湿を行い、肌を十分に休ませて様子を見ましょう。

それでも症状が改善しない、あるいは赤みや痛みが強いなど炎症がひどい場合には、自己判断せずに早めに皮膚科を受診し、医師に相談することが大切です。

ニキビ肌さんが拭き取り化粧水を選ぶポイント

ニキビ肌の方が拭き取り化粧水を選ぶ際は、配合されている成分が自分の悩みに合っているか、また肌への負担も考慮されているか、といった点に注目してみましょう。

ポイント1:角質ケア成分(グリコール酸、サリチル酸など)配合か

ニキビの原因となる毛穴詰まりや、肌のごわつきには、古い角質をケアする成分が有効です。特に注目したいのが、「グリコール酸(AHAの一種)」と「サリチル酸(BHA)」の組み合わせです。

グリコール酸は主に肌表面に働きかけ、くすみ*¹やざらつきが気になる肌をなめらかに整える働きがあります。

サリチル酸は油に溶けやすく毛穴に浸透*²しやすい特徴があり、毛穴の詰まりや角栓が気になる肌に適しています。また、サリチル酸には抗菌作用も期待できます。

この2つが配合されていると、肌表面と毛穴内部の両方から、複合的なニキビ悩みにアプローチしやすくなります。

なお、このような酸を使った角質ケアは「ピーリング」とも呼ばれ、グリコール酸やサリチル酸は、より本格的なピーリング製品にも用いられる代表的な成分です。

ピーリングについてさらに詳しく知りたい方は、「ピーリングについて」の記事も参考にしてみてください。

ポイント2:「肌荒れ防止成分(アラントインなど)」の配合か

角質ケア成分は効果的な反面、肌質によってはピリピリ感などを感じることがあります。そのため、肌をすこやかに保つ成分が一緒に配合されているかどうかもチェックしたいポイントです。

「アラントイン」は、肌荒れを防ぎ、肌を保護する目的で知られる成分です。グリコール酸やサリチル酸といった角質ケア成分と一緒に配合されていることで、角質ケア中も肌を穏やかに保ち、心地よい使用感をサポートしてくれるでしょう。

ニキビ肌さんの拭き取り化粧水選びでは、このように効果的な角質ケア成分(例:グリコール酸とサリチル酸の組み合わせ・適切な濃度)と、肌へのやさしさを考慮した成分(例:アラントイン)がバランス良く配合されているかに注目するのがおすすめです。

拭き取り化粧水を上手に活用してニキビ知らずの美肌を目指しましょう!

拭き取り化粧水は、毛穴詰まりの原因となる古い角質や余分な皮脂、洗顔で落としきれなかった汚れを取り除き、肌を清潔に保つことで、ニキビができにくい健やかな肌作りをサポートしてくれるアイテムです。

その一方で、使い方を間違えると摩擦による刺激や乾燥を招き、かえってニキビを悪化させてしまう要因になることもあります。特に、ニキビができやすいデリケートな肌状態の時には、選び方や使い方に注意が必要です。

大切なのは、まず自分の肌質やニキビの状態に合った製品を選ぶことです。

例えば、角質ケア効果が期待できる成分と肌へのやさしさを考慮した成分がバランス良く配合されているか、といった点を確認すると良いでしょう。

そして、正しい使い方を実践することです。肌の声に耳を傾け、炎症がひどい時は使用を控え、もし肌に合わないと感じたら無理せず使用を中止する判断も重要です。

拭き取り化粧水のメリットを最大限に活かし、デメリットを避けることで、ごわつきや毛穴詰まりのない、なめらかでクリアな美肌に近づくことができるはずです。毎日のスキンケアに上手に取り入れて、自信の持てる「ニキビ知らずの肌」を目指していきましょう!

ただし、セルフケアで改善が見られない場合や、炎症が強いなど重度のニキビにお悩みの場合は、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。

*¹ 汚れの蓄積、古い角質層によるもの

*² 角質層まで

*³ 乾燥や古い角質による

*⁴ 潤いによる