拭き取り化粧水は手軽に角質ケアができると人気のアイテムですが、肌に負担がかかるんじゃないか…、肌荒れしたりするんじゃないか…。そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
古い角質や毛穴汚れを拭き取ることで、つるんとしたなめらかな感触の肌を目指せるという、嬉しい使用感が期待できる一方で、「刺激を感じる」「乾燥しやすい」といった声も聞かれます。
実際のところ、拭き取り化粧水は「使い方」と「選び方」がとても重要。正しく使えばスキンケアの頼もしい味方になりますが、間違えると肌への負担やトラブルの原因にもなりかねない、少し注意が必要なアイテムです。
拭き取り化粧水が「肌に悪い」と言われる理由やデメリットを知り、ご自分の肌に合った拭き取り化粧水との付き合い方を見つけ、スキンケアの効果を最大限に引き出しましょう。
拭き取り化粧水が「肌に悪い」かは使い方次第!
拭き取り化粧水は、製品の選び方や使い方、そしてご自身の肌質やその時のコンディションによって、心地よい使用感が得られることもあれば、反対に肌への負担となってしまう可能性も考えられます。
例えば、拭き取るという物理的な作用により、古い角質や汚れを取り除くことで、肌表面のゴワつきや、くすみ*¹が気になる肌をなめらかな感触に整えることや、毛穴に残った汚れや余分な皮脂を取り除き、さっぱりとした使用感を得ることが期待できます。
また、肌表面を清浄に整えることで、次に使う化粧水や美容液などがなじみやすくなります。
このように、適切に使用すれば、日々のスキンケアをサポートするアイテムとなり得ます。
しかしその一方で、強くこすりすぎたり、肌質に合わない製品を使用したりすると、摩擦による物理的な刺激や、肌のつっぱり感、乾燥などを感じることがあります。場合によっては、肌荒れにつながる可能性も否定できません。
だからこそ、拭き取り化粧水に期待できる使用感や、使用上の注意点を正しく理解し、ご自身の肌の状態をよく観察しながら、適切に取り入れることが大切です。
拭き取り化粧水とは?普通の化粧水との役割の違い
拭き取り化粧水は、コットンに含ませて肌を拭き取ることで、洗顔では落としきれない古い角質や毛穴の汚れを取り除くスキンケアアイテムです。普通の化粧水とは役割や使い方、配合成分まで大きく異なります。
普通の化粧水が、主に肌に水分や保湿成分(ヒアルロン酸やグリセリン、セラミド)を「与える」ことを目的としているのに対し、拭き取り化粧水は不要な汚れや古い角質などを「取り除く(除去・清浄)」ことを主な目的としている点が大きな違いです。
角質を柔らかくしたり剥がれやすくしたりすると言われるAHA(フルーツ酸)やBHA(サリチル酸)といった整肌成分(ピーリング成分)や、皮脂や汚れを落とすための清浄成分、さっぱりとした使用感を出すためのアルコール(エタノール)などが配合されていることが多いのが拭き取り化粧水の特徴です。
ただし、拭き取る際の摩擦や配合成分によっては、肌への刺激や乾燥を感じることもあります。これが「肌に悪い」と言われることがある理由の一つです。
■ あわせて読みたい:拭き取り化粧水とは?効果と役割、使い方・順番をわかりやすく紹介
拭き取り化粧水が「肌に悪い」と言われる?主な4つの理由(デメリット)
拭き取り化粧水は効果的なスキンケアアイテムである一方で、「肌に悪い」という声もあります。実際、使い方や肌質によっては肌に負担をかけてしまう可能性があるのは事実です。
ここでは、拭き取り化粧水が肌に悪いと言われる4つの主な理由について紹介していきます。
拭き取り化粧水のデメリットを理解することで、自分の肌に合った肌トラブルを防ぐための正しい付き合い方が見えてくるはずです。
拭き取る際の「摩擦」が肌バリアを傷つけるリスク
拭き取り化粧水をコットンに含ませて肌を拭き取る際、どうしても摩擦が生じます。この摩擦は肌のバリア機能を傷つける可能性があります。
私たちの肌の表面には、「肌バリア機能」と呼ばれる、乾燥や外部刺激から肌を守るための大切な仕組みが備わっています。
肌のバリア機能は、角質層とその間を埋める細胞間脂質などが、まるでレンガとセメントのように組み合わさって形成されており、肌内部の水分蒸発を防ぎ、外からの異物(ホコリ、花粉、細菌など)の侵入をブロックする役割を担っています。
しかし、コットンで肌を拭き取る際の摩擦は、たとえ優しく行っているつもりでも、このデリケートな肌バリア機能を少しずつ傷つけてしまう可能性があります。
毎日のように摩擦が繰り返されると、バリア機能が低下し、肌は刺激を受けやすく、乾燥しやすい状態に傾いてしまいます。
特に敏感肌の方は、肌のバリア機能がもともと弱いため、この摩擦による刺激を受けやすく、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感などの肌トラブルを引き起こす原因になることも。また、冬場や生理前などの肌が敏感になっている時期は、普段は問題ない方でも刺激を感じやすくなります。
肌のバリア機能が低下すると、外部からの刺激に弱くなり、乾燥やトラブルを起こしやすい肌状態になってしまいます。拭き取り化粧水を使う際は、この摩擦による影響を最小限に抑えるよう心がけることが大切です。
配合成分による刺激(アルコール・角質ケア成分など)
拭き取り化粧水には、角質除去や清涼感のために特徴的な成分が配合されていることがありますが、これらが肌質や肌状態によっては刺激となる可能性があります。特に注意したい成分を見ていきましょう。
アルコール(エタノール)
多くの拭き取り化粧水には、アルコール(エタノール)が含まれています。アルコールには殺菌効果があり、皮脂を溶かす働きもあるため、スッキリとした使用感を得られます。また、他の成分が肌になじむのを助ける働きもあります。
しかし、アルコールは肌の乾燥を招く可能性もあります。アルコールが蒸発する際に肌の水分も一緒に奪ってしまうため、特に乾燥肌の方や冬場などの乾燥しやすい季節には注意が必要です。また、肌のバリア機能が弱い方にとっては、アルコールが刺激となってピリピリ感や赤みを引き起こすこともあります。
AHA/BHA(角質ケア成分)
AHA(アルファヒドロキシ酸、グリコール酸や乳酸など)やBHA(ベータヒドロキシ酸、サリチル酸)といった成分は、古い角質を柔らかくして剥がれやすくする効果(いわゆるピーリング効果)があります。これらは角質ケア成分として有効ですが、濃度が高いと肌に刺激を与える可能性があります。
特にAHAは水溶性で肌表面に作用し、BHAは油溶性で毛穴の奥まで浸透*²する特性があります。使用後に肌がピリピリする、赤くなる、過敏になるといった症状が現れることがあり、敏感肌の方や初めて使用する方は注意が必要です。また、これらの成分は肌を紫外線に敏感にする可能性もあるため、日中の使用後は必ず日焼け止めを使用することが重要です。
「乾燥」を悪化させてしまう可能性がある
拭き取り化粧水の使用によって肌の乾燥が悪化する可能性があります。これは、前述のアルコール成分による乾燥効果だけでなく、皮脂や天然保湿因子(NMF)などの肌の保湿成分まで取り除いてしまうことが原因となります。
健康な肌は、適度な皮脂と角質層内の天然保湿因子によって水分を保持し、外部からの乾燥から肌を守っています。拭き取り化粧水の使用によって、これらの保湿成分まで取り除かれてしまうと、肌の水分保持能力が低下し、水分が蒸発しやすくなります。
特に乾燥肌の方や、冬場などの乾燥しやすい季節、また年齢とともに肌の水分保持能力が低下している方は、拭き取り化粧水の使用によって乾燥感が強まることがあります。乾燥が進むと、肌のバリア機能がさらに低下し、刺激に敏感になったり、肌のキメが乱れたりする悪循環に陥ることも。
乾燥肌の方が拭き取り化粧水を使用する場合は、使用頻度を控えめにし、使用後は必ず十分な保湿ケアを行うことが大切です。また、アルコールフリーで保湿成分が配合された製品を選ぶのもひとつの方法です。
必要な角質まで取りすぎてしまうことも
拭き取り化粧水は古い角質を取り除く効果がありますが、使い方によっては必要な角質まで取り除きすぎてしまうリスクもあります。健康な角質層は、肌のバリア機能を担う重要な役割を持っており、外部からの刺激や乾燥から肌を守っています。
過剰な角質ケアは、このバリア機能を低下させる原因になります。特に、毎日のように拭き取り化粧水を使用したり、強くこすりすぎたりすると、健康な角質まで取り除いてしまう可能性があります。
その結果、健やかな肌状態が損なわれ、かえって肌のコンディションが不安定になったり、肌トラブルを招きやすくなったりする可能性があります。ひどい場合には、肌が薄くテカテカして見える「ビニール肌」と呼ばれる状態になることも。
ビニール肌は、表面はツルツルしているように見えても、実は肌のバリア機能が低下して乾燥しやすく、外部刺激に敏感になった症状。まるで薄いビニールを貼ったような、不自然なツヤと透明感がある肌状態のことです。
一般的に肌は約28日周期で生まれ変わると言われていますが、過剰な角質ケアは、健やかな肌状態を保つ妨げとなり、肌トラブルの原因になることがあります。
拭き取り化粧水を使用する際は、肌質や肌の状態に合わせた適切な頻度を守り、必要以上の使用は控えることが大切です。特に敏感肌の方や乾燥肌の方、年齢によるターンオーバーの遅れが気になる方は、使用頻度や方法に十分注意しましょう。
拭き取り化粧水を使うメリット
拭き取り化粧水が「肌に悪い」と言われる一方で、適切に使用すれば様々なメリットが期待できます。自分の肌質や肌状態に合った使い方をすることで、心地よい使用感や手応えを感じられるでしょう。
ここでは主なメリットを5つご紹介します。
メリット1:古い角質を除去して「ゴワつき」を防ぎ、つるんとした肌へ
肌表面に溜まった不要な古い角質を優しくオフ。ザラつきやゴワつきが気になる肌をなめらかにし、「つるん」とした肌触りに整えます。ファンデーションのノリが良くなることも期待できます。
メリット2:毛穴の黒ずみ*³・詰まり・皮脂汚れをすっきり清浄に
洗顔で落としきれなかった毛穴の汚れや余分な皮脂、角栓などを除去する手助けをします。毛穴の黒ずみ*³や詰まりを目立ちにくくし、清潔ですっきりとした肌印象へ導きます。
メリット3:くすみ*¹が取れて、明るく透明感*⁴のある肌印象に
くすみ※の原因となる古い角質を取り除くことで、肌が本来持つなめらかさや明るい印象を引き出します。光をきれいに反射するようになり、クリアな肌印象が期待できます。
メリット4:後続スキンケア(化粧水・美容液)の肌へのなじみを良くする
肌表面の汚れや古い角質がなくなることで、後に使う化粧水や美容液などが角質層へなじみやすくなります。スキンケア全体の満足感を高めるサポート役となることもあります。
メリット5:忙しい朝の「洗顔代わり」や軽いメイク落としにも?
製品によっては、朝の洗顔代わりや軽いメイク落としとして使えるものも。ただし、洗浄力は洗顔料・クレンジング料より劣るため、皮脂汚れやメイクが十分に落ちない可能性や、乾燥を招くリスクもあります。必ず製品の表示を確認し、肌に負担を感じたら使用を中止しましょう。 基本的には通常の洗顔・クレンジングをおすすめします。
拭き取り化粧水の正しい使い方とNGな使い方
拭き取り化粧水のメリットを引き出し、デメリットを抑えるためには、正しい使い方をマスターすることが何よりも重要です。せっかくのケアも、方法を間違えると逆効果になってしまうことも。
ここでは、肌への負担を減らすための効果的な使い方と、ついやってしまいがちなNGケアについて紹介していきます。
正しい拭き取り化粧水の使い方

効果的なケアのためには、以下の4つのステップを意識しましょう。
洗顔後の清潔な肌に使うのが大前提です。
- STEP1:コットンに拭き取り化粧水をたっぷり含ませ
- STEP2:コットンで顔全体を優しく拭き取ります
- STEP3:ハンドプレスでなじませ
- STEP4:すぐに化粧水や乳液などでしっかりと水分・油分を補給して保湿ケアを
【要注意】やりがちNGケア:ゴシゴシ摩擦、化粧水ケチる、保湿しない…

良かれと思ってやっているケアが、実は肌に負担をかけている可能性も。以下のような「やりがちNGケア」には十分注意しましょう。
- ゴシゴシ強く擦る(摩擦)
- 化粧水の量が少ない(ケチる)
- 拭き取り後の保湿を怠る
- 使用頻度が多すぎる
- 肌が敏感な時に使う
このようなNGケアは、肌への負担を増やし、乾燥や赤み、肌荒れなどのトラブルを招く原因になります。
また、角質を取りすぎることで、かえって肌のコンディションを不安定にしてしまうことも。健やかな肌のためにも、正しい使い方を守りましょう。
拭き取り化粧水を選ぶポイント!肌質に合わせたスキンケアを
拭き取り化粧水と一口に言っても、その種類はさまざま。自分の肌質に合わないものを選んでしまうと、せっかくのケアが逆効果になったり、肌トラブルを招いたりすることも少なくありません。
ここでは、肌タイプ別に拭き取り化粧水を選ぶ際のポイントについて紹介します。
ニキビ・脂性肌さん: 古い角質や皮脂をケアできるもの
ニキビができやすかったり、皮脂によるテカリやベタつきが気になる脂性肌の方は、過剰な皮脂や毛穴詰まりを防ぐケアがポイントになります。
古い角質が溜まると毛穴が詰まりやすくなるため、穏やかに古い角質をケアし、肌のキメを整えるのを助けるタイプの拭き取り化粧水を選びましょう。
サリチル酸(BHA)など、毛穴の中の皮脂汚れにアプローチしやすい成分が配合されているものも選択肢の一つです。 また、過剰な皮脂によるベタつきを抑える使用感のものや、肌荒れを防ぐ成分(アラントインなど)が配合されているかもチェックポイント。
ただし、洗浄力の強すぎるものや高濃度のアルコールは、かえって乾燥を招き、皮脂の過剰分泌に繋がることもあるため注意しましょう。
■ あわせて読みたい:拭き取り化粧水はニキビを悪化させる?ニキビへの効果や正しい使い方を解説
普通肌さん: 肌のキメを整えつつ現在の肌バランスを保てるもの
肌状態が比較的安定している普通肌の方は、現在の良好な肌バランスを崩さないよう、穏やかなケアを心がけることが大切です。
特に大きな肌悩みがない場合でも、年齢や環境によって肌のコンディションは変化しやすいため、肌のゴワつきや、なんとなくくすみ*¹が気になる時に、肌のキメを整えたり、なめらかにしたりするマイルドな角質ケア成分配合の拭き取り化粧水を取り入れるのは良いでしょう。
ただし、強い刺激は避け、保湿成分も適度に配合された、バランスの取れた製品を選ぶのがおすすめです。基本的な保湿ケアも忘れずに行いましょう。
乾燥肌さん:肌負担を抑えつつゴワつきをケア(角質ケア)できるもの
肌の水分量が少なく、カサつきやつっぱり感を感じやすい乾燥肌の方は、何よりも肌への負担を最小限に抑えることが重要です。
乾燥によるゴワつきを感じ、角質ケアを取り入れたい場合は、刺激の少ないPHAや酵素など、マイルドな角質ケア成分配合のものを選ぶか、使用頻度を週1回程度にするなど、慎重に行いましょう。
刺激が強いとされる成分(AHA/BHAなど)は基本的に避けるのが無難ですが、もし試したい場合は、事前にパッチテストを行う、ごく少量から試す、使用頻度をさらに抑えるなど、細心の注意が必要です。
アルコールフリーで、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分がしっかり配合された製品を選ぶこともポイントです。
敏感肌さん:徹底した低刺激処方で安心して使える製品を見極める
わずかな刺激でも肌トラブルを感じやすい敏感肌の方は、製品選びに最も慎重さが必要です。「徹底した低刺激処方」であることを第一条件にしましょう。
まず、「敏感肌用」「パッチテスト済み」「アレルギーテスト済み」といった記載のある製品を選びます。
そして、購入前には必ず成分表示を確認し、刺激となる可能性のある成分(アルコール、香料、着色料、メントール、強力なピーリング成分など)が含まれていないかチェックすることが不可欠です。できるだけシンプルな処方のものが安心です。
保湿成分がしっかり配合されていることも重要ですが、植物エキスなどが多く配合されている場合、人によってはアレルギー反応を起こす可能性もあるため注意が必要です。
初めて使う製品は、必ず腕の内側などでパッチテストを行ってから顔に使用するようにしましょう。
こんな場合は拭き取り化粧水の使い方に注意が必要
拭き取り化粧水は便利なアイテムですが、肌の状態によっては使用を控えたり、使い方に注意したりする必要があります。無理に使用を続けると、かえって肌トラブルを悪化させてしまうことも。
ここでは、特に注意が必要な5つのケースについて紹介します。ご自身の肌状態をチェックする際の参考にしてください。
赤み・ヒリヒリ があるとき
肌に赤みが出ている、触れるとヒリヒリとした痛みを感じ場合は、肌が何らかの原因で炎症を起こしていたり、極度に敏感になったりしているサイン。このような状態で拭き取り化粧水を使うのは避けましょう。
コットンで拭き取る際の物理的な摩擦や、製品に含まれるアルコール、角質ケア成分などがさらなる刺激となり、炎症や赤みを悪化させてしまう可能性が高いです。
まずは肌を休ませ、刺激を与えないシンプルな保湿ケアで、肌が落ち着くのを待ちましょう。
乾燥やつっぱり がひどいとき
洗顔後、肌がひどくつっぱる、粉を吹いている、見た目にもカサカサしている…。そんな極度に乾燥が進んでいる状態の時も、拭き取り化粧水の使用は控えるのが賢明です。
ひどい乾燥状態の肌は、バリア機能が著しく低下しています。そこに拭き取り化粧水(特にアルコールや角質ケア成分配合のもの)を使うと、肌に必要な皮脂や保湿成分まで奪われ、さらに乾燥が進んでしまう恐れがあります。
場合によっては、肌がひび割れたり、皮むけがひどくなったりすることも。まずは、セラミドやヒアルロン酸などが配合された高保湿アイテムで、肌にしっかりとうるおいを与え、バリア機能をサポートするケアを優先しましょう。
肌が敏感なとき
普段は問題なく使えている化粧品でも、なぜか刺激を感じたり、赤みが出たりすることがあります。これは、季節の変わり目、花粉の時期、体調の変化(寝不足、ストレス、生理前など)によって、一時的に肌が敏感になっているサインかもしれません。
肌が敏感になっているときは、刺激に対する防御力が低下しています。いつもは大丈夫な拭き取り化粧水でも、思わぬ刺激となってしまう可能性があります。
肌の調子がいつもと違うな、と感じる時は、念のため使用を一時お休みするか、敏感肌向けの特にマイルドな製品に切り替えるなどの配慮が必要です。
肌荒れやニキビ があるとき
既に肌荒れを起こしていたり、炎症を伴う赤ニキビや化膿した黄ニキビなどができていたりする場合も、拭き取り化粧水の使用は慎重に行うべきです。
コットンで拭き取る際の摩擦が、肌荒れやニキビの炎症を悪化させたり、ニキビを潰してしまったりする可能性があります。
また、製品によっては、ニキビのない部分には良くても、炎症部分には刺激が強すぎることも考えられます。
特に炎症がひどい場合は使用を避け、まずは肌荒れやニキビを落ち着かせるためのケア(薬用化粧品や皮膚科での治療など)を優先しましょう。使う場合でも、炎症を起こしている部分は避けて拭き取るなどの工夫が必要です。
年齢肌(40代以上の方) のとき
年齢を重ねると、肌のうるおいを保つ力やバリア機能が低下し、刺激を感じやすくなる傾向があります。そのため、若い頃と同じようなスキンケア、特に角質ケアを行うと、肌への負担が大きくなってしまうことがあります。
一方で、古い角質が溜まりやすくなると、ゴワつきやくすみ*¹が気になることも。そのため、年齢肌のケアでは「刺激から肌を守ること」と「古い角質を穏やかにケアすること」のバランスが重要になります。
拭き取り化粧水を選ぶ際は、低刺激で保湿力の高いものを選びましょう。使用する場合も、毎日は避け、週に1〜2回程度から、肌の調子が良い時に限定するなど、肌の反応を注意深く見ながら慎重に行うことが大切です。少しでも刺激を感じたらすぐに使用を休みましょう。
拭き取り化粧水の使い方でよくあるQ&A
拭き取り化粧水の使い方について、よくいただく質問にお答えします。
拭き取り化粧水の代わりとなる優しい角質ケア方法はありますか?
拭き取り化粧水の摩擦や成分による刺激が気になる場合、より肌に優しい角質ケア方法として、例えば酵素洗顔がおすすめです。
酵素洗顔は、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)や皮脂分解酵素(リパーゼ)の力で、肌表面の古い角質や毛穴の汚れを分解して洗い流すタイプの洗顔料です。物理的な摩擦が少なく、肌への負担を抑えながら角質ケアができるため、敏感肌の方でも比較的試しやすいでしょう。ただし、酵素洗顔も製品によっては毎日使うと刺激になる場合があるので、週に1〜2回のスペシャルケアとして取り入れるのが一般的です。
他にも、クレイ(泥)パックや、マイルドな洗い流すタイプのピーリングジェルなども、比較的優しい角質ケア方法と言えます。
乾燥肌でニキビができやすい肌の場合、拭き取り化粧水は使っても大丈夫ですか?
乾燥肌でニキビもできやすい場合、拭き取り化粧水は肌の状態を慎重に見ながら、適切な製品を正しく使うことで、ニキビができにくい肌環境に整えるサポートとなる場合があります。
特に、古い角質が溜まりやすくなり(角質肥厚)、毛穴を塞いでニキビの原因となっている場合には、優しい角質ケアが役立つことも。
ただし、乾燥肌やニキビができやすい肌は非常にデリケートな状態。使用する場合は、アルコールフリーで保湿成分配合の低刺激な製品を選び、必ずパッチテストを行ってください。
毎日の使用は避け、週に1〜2回程度から始め、少しでも刺激を感じたらすぐに使用を中止しましょう。
また、拭き取り後は肌が乾燥しやすいため、保湿することが必須です。最適なケアは肌状態によって大きく異なるため、可能であれば皮膚科専門医への相談も検討することをおすすめします。
拭き取り化粧水と導入化粧水の違いはなんですか?
この二つは役割が異なります。
拭き取り化粧水 | 洗顔では落としきれない古い角質や、ザラつき、毛穴の奥の汚れなどを優しく取り除くことが主な目的。 |
---|---|
導入化粧水(ブースター) | その後に使う化粧水や美容液などの角質層へのなじみを良くすることが主な目的。 |
順番としては、洗顔 → 拭き取り化粧水 → 導入化粧水 → 化粧水 → 美容液 → 乳液・クリーム、となるのが一般的です(製品によって異なる場合もあります)。ただし、両方を必ず使う必要はなく、肌の状態や目的に合わせて取り入れましょう。
拭き取り化粧水は毎日使ってもいいの?
肌質や肌の状態、そして製品によって大きく異なります。製品によっては「毎日使用可能」と記載されているものもありますが、そうした製品であっても、ご自身の肌が問題なく受け入れられるかを確認しながら使うことが大切です。 必ず製品ごとの使用頻度の指示を確認しましょう。
角質ケア成分がしっかり配合されているものや、アルコール濃度が高いものなどは、毎日使うと肌への負担が大きくなる可能性もあります。
肌質別の使用頻度の目安は、以下の通りです。
- 普通肌:週2〜3回
- 脂性肌:週3〜4回
- 乾燥肌:週1〜2回
- 敏感肌:週1回以下、または使用を控える
- 混合肌:Tゾーンは週3〜4回、Uゾーンは週1〜2回など、部位によって調整
「毎日使わなければ効果がない」ということはありません。むしろ、やりすぎによるデメリットの方が大きい場合もあります。肌の状態と相談しながら、最適な頻度を見つけるようにしましょう。
拭き取り化粧水は敵じゃない!正しい知識で賢く付き合い、理想の肌へ
拭き取り化粧水は「肌に悪い」というイメージを持たれることもありますが、実際には使い方次第で、スキンケアの強い味方になるアイテムです。
拭き取り化粧水は、古い角質や毛穴の汚れを取り除き、肌をなめらかに整えたり、次に使うスキンケアの角質層へのなじみを良くしたりと、上手に使えば美肌作りの頼もしい味方になってくれるアイテムです。
しかしその一方で、使い方を間違えたり、自分の肌質に合わないものを選んだりすると、摩擦による刺激、乾燥、バリア機能の低下といった肌トラブルを引き起こす可能性も秘めています。
大切なのは、「拭き取り化粧水=悪」と決めつけるのではなく、その特性(メリット・デメリット)を正しく理解すること。そして、自分の肌質やその時の肌状態に合わせて、最適な製品を選び、正しい方法で使うことです。
- 優しく、摩擦を避けて拭き取る
- コットンには化粧水をたっぷり含ませる
- 肌質や製品に合った適切な頻度を守る
- 使用後は必ず、すぐに、しっかりと保湿する
- 肌の調子が悪い時は無理に使わない
上記のような基本的なポイントを守り、常に自分の肌の声に耳を傾け、状態をよく観察しながらケアを行うことが、拭き取り化粧水と賢く付き合っていくための鍵となります。
*¹ 汚れの蓄積、古い角質層によるもの
*² 角質層まで
*³ 乾燥や古い角質による
*⁴ 潤いによる